共同研究部門 先端臨床検査研究部門長 河田 純一

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河田 純一 Junichi Kawada

九州大学先端医療イノベーションセンター
先端臨床検査研究部門
准教授

主な研究テーマ

神経回路形成の分子基盤の解明、精神疾患の発症の仕組みの解明と臨床検査への応用、神経変性疾患の予防戦略の開発と早期診断法の確立

研究概要

私たちは、正中線を中心として神経回路パターンを制御するSlit-Roboシグナリングを研究しています。このシグナル経路に関係する分子群の多くが、最近、精神神経疾患のリスク因子あるいは原因遺伝子の産物として指摘されています。それらはミトコンドリア動態に影響を及ぼしながら、神経細胞の軸索・樹状突起の形態・シナプス結合を調節している可能性が高く、まず、正常時に機能する分子基盤に迫ります。更に、この仕組みの破綻が、いかにして精神疾患の発症に関与するのかを明らかにします。このシグナル経路は血液細胞系でも機能するため、そこでの機能不全を定量化することで、客観的で早期の診断を可能にするべく、臨床検査への応用を目指したいと考えています。また、アルツハイマー病、パーキンソン病等の神経変性疾患の発症・進行にもミトコンドリアが関与している可能性があります。その仕組みに迫り、症状の進行阻止と更には完全予防できる戦略の開発と、早期診断の土台となる臨床検査システムの構築を目指します。

業績

1. Yuasa-Kawada, J., Kinoshita-Kawada, M., Wu, G., Rao, Y., Wu, J.Y. (2009) Midline crossing and Slit responsiveness in commissural axons require USP33. Nat. Neurosci. 12, 1087-1089.

2. Yuasa-Kawada, J., Kinoshita-Kawada, M., Rao, Y., Wu, J.Y. (2009) Deubiquitinating enzyme USP33/VDU1 is required for Slit signaling in inhibiting breast cancer cell migration. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 106, 14530-14535.

3. Yuasa, J., Hirano, S., Yamagata, M., Noda, M. (1996) Visual projection map specified by topographic expression of transcription factors in the retina. Nature 382, 632–635.

(特許)

「神経成長円錐の新規シグナル制御分子CRMP」(特願2002-160853, 湯浅-河田 純一, 野田昌晴, 特許コード:P07A012603)

ひとこと

 神経発生学や細胞生物学と他分野科学を融合したアプローチにより、精神神経疾患の発症の仕組みに迫ると共に、臨床検査の現場で有用となり得るバイオマーカーを発見したいと考えています。先端レベルの研究を目指しつつ、その成果で一日でも早く社会の皆さまに貢献できるよう、頑張りたいと思います。